相性診断を作って、無料で配っている会社です。その立場で、この問いに答えます。

当てるという意味では、意味がありません。

これは謙遜ではなく、実際に調べた人たちの結果です。しかも一人や二人ではなく、規模の大きい調査が複数あって、結論はだいたい一致しています。まずそれを並べます。

そのうえで、では何のために作っているのかを書きます。順番を逆にすると言い訳に見えるので、悪い話から先に出します。

一〇〇〇万組を調べた人がいます

2008年、デイヴィッド・ヴォースという研究者が、イングランドとウェールズの2001年国勢調査を使って、同居している夫婦一〇〇〇万組以上の誕生日を突き合わせました。星座の相性が本当にあるなら、相性が良いとされる組み合わせの夫婦が、偶然より多く現れるはずです。

最初、それらしい結果が出ました。同じ星座どうしの夫婦が、期待値より約二二一〇〇組多かったのです。

ところが、調べていくと二つの理由で説明がついてしまいました。

記入のしかたによるもの

  • 世帯の調査票は一人が代表して書く
  • 配偶者の欄に、自分の誕生日を書いてしまう
  • 同じ誕生日の夫婦が、期待値より41%多かった
  • そのうち約一〇九〇〇組は、配偶者の性別まで自分と同じにしていた

データ処理の仕様によるもの

  • 判読できない生年月日は、その月の1日に自動で補完される
  • 補完のとき、月が順番に割り当てられる
  • 結果として、隣り合う星座が多く見える

決定的だったのは、次の比べ方です。「同じ星座だけれど月は違う」夫婦と、「同じ月だけれど星座は違う」夫婦を分けて数える。星座に効果があるなら前者が多いはずですが、前者は偶然より多くありませんでした。

著者の結論は、配偶者の誕生日の分布は、無作為に選んだ場合とほぼ同じ、というものでした。

スウェーデンの行政記録でも、同じでした

2020年、査読のある人口学の学術誌に、スウェーデンの研究が出ました。1968年から2001年までの、個人単位の行政記録を使っています。

調べたのは二つです。占星術的に相性が良いとされるカップルは、実際の結婚に多く現れるのか。そして、離婚しにくいのか。

結果は、どちらも支持されませんでした。相性が良い組み合わせが結婚に多いという一貫した証拠も、離婚のリスクが低いという証拠も、得られていません。

一〇〇〇万組の調査と、三十年分の行政記録。調べた人は複数いて、結果は一致しています。

占星術師本人を試した調査もあります

2024年に公開された調査では、占星術師152人に、こういう課題を出しました。ある人物についての詳しい回答を43問分読んだうえで、五つの出生図から本物を選ぶ。ダミー四つはランダムに作ったものです。これを12回。

偶然に選んだ場合の期待値は12問中2.4問。実際の平均は2.49問でした。12問中6問以上正解した占星術師は、一人もいません。

占星術師どうしの一致率も測られています。同じ出生図を見て同じ判断になる割合は、経験の長さで分けても20.5%から28.3%。偶然の一致は20%です。

ただし、この調査には二つ断りが要ります。査読のある学術誌に載った研究ではなく、調査を行った団体が自ら公開したものであること。そして152人という人数は、経験がない人と、自己予測が偶然を下回った人を除外したあとの人数であることです。著者自身も「まれに優れた占星術師がいる可能性は否定できない」と留保しています。上の二つほど強い証拠として扱うべきではありません。

そもそも「相性が良ければうまくいく」のほうが、先に崩れています

ここからが、私にとっては本題です。

相性診断が当たらないという話の前に、「二人の組み合わせで関係の行方が決まる」という前提そのものが、関係の研究では支持されていません。

2020年、43の追跡調査、11,196組のデータを機械学習で解析した研究があります。関係の満足度を何が予測するかを、総当たりで調べたものです。

11,196組を調べた結果

予測したのは、本人が今の関係をどう感じているかだった

相手側の回答も、二人それぞれの性格も、予測に何も足さなかった。「組み合わせ」の効果を拾える解析方法を使ったうえで、上乗せは出なかった。

つまり、誰と組んだかより、その関係の中で本人が何を感じているかのほうが、満足度をずっとよく説明する。これは占いの話ではなく、心理学の側の話です。

似た結果は別の角度からも出ています。313の研究をまとめた分析では、「実際に性格が似ていること」が魅力を予測するのは、初対面か、ごく短いやりとりまででした。すでに続いている関係では、実際の類似性は予測しませんでした。代わりに効いていたのは「似ていると感じているか」のほうです。

スピードデートを使った実験でも同じでした。恋愛的な好意を予測したのは、知覚された類似性だけ。実際の類似性は予測しませんでした。

私たちの相性診断にも、同じ留保がかかります

ここは正直に書いておきます。

さきほどのスピードデートの研究には、続きがあります。「似ていると感じているか」を特性ごとに細かく測ると、全体としてざっくり測るより、予測の力が弱くなったというものです。

これは、相性を項目別にスコア化する手法すべてにかかる指摘です。うちのレポートも例外ではありません。「この項目は◯点、この項目は△点」と細かく出すほど、細かさに見合った精度が付いてくるわけではない。

だから私たちは、点数で優劣を出す作りにしていません。数字のリングも使いません。それは技術的な選択というより、細かく出すほど正確に見える、という錯覚を自分たちで作りたくないからです。

では、何のために作っているのか

ここまでの話をまとめると、こうなります。

できないこと

  • 相手の本心を言い当てる
  • この先うまくいくかを予測する
  • 別れたほうがいいかを判定する
  • 「運命の相手」を見つける

できること

  • 二人の気質の違いに、名前をつける
  • 言いにくかったことに、言葉を渡す
  • 二人で同じものを見る機会を作る
  • 自分の感じ方を、外から眺めてみる

右側は、当たらなくても成立します。

思い出してほしいのは、さきほどの研究です。続いている関係で効いていたのは「似ていると感じているか」でした。実際に似ているかどうかではなく。

感じ方は、動きます。相手の沈黙を「関心がない」と読んでいた人が、「考えをまとめるのに時間がかかる人だ」と読み直せることがある。そこに必要なのは、当たった予言ではなく、別の読み方を試すための言葉です。

相性診断が実際にしているのは、それだと思っています。当てているのではなく、言葉を渡している。渡された言葉が違うと感じたなら、それも収穫です。違うと感じられるということは、自分の感じ方の輪郭がはっきりしたということだからです。

私たちの立場

当てるためではなく、話し始めるために

結果に従う必要はありません。しっくりくる言葉も、違うと感じる言葉も、どちらも材料として使えます。

もう少し、考えてみる

当たらないと分かっていて、なぜ売っているのですか

当たると言って売っているなら、それは問題だと思います。私たちは当たるとは言っていません。占いや診断が果たせる役割は、予言ではなく、言葉を渡すことだと考えています。

一方で、この立場が全員に受け入れられるとも思っていません。「当ててほしい」という期待で来た方には、うちのレポートは物足りないはずです。それは正しい感想です。

相性が悪いと出てしまいました。どうすればいいですか

悪い結果を受け取ったあとに何をするかは、「相性が悪い」と、言われてしまった夜にに詳しく書きました。当たっているかどうかより先に確かめられることがあります。

無料と有料で、当たりやすさは変わりますか

当たりやすさは変わりません。変わるのは、書かれている量と、どこまで踏み込んで言葉にしてあるかです。

料金が高いほど当たる、という説明を見かけたら、いったん疑ってよいと思います。値段は、鑑定にかけた時間や手間を反映することはできますが、予測の精度を反映することはできません。予測の精度自体が、上に並べたとおりだからです。

血液型やMBTIの相性診断は、どうですか

仕組みは違いますが、この記事で書いたことの多くは同じようにかかります。項目を細かく分けるほど精度が上がるわけではないこと、続いている関係では「実際に似ているか」より「似ていると感じているか」が効くこと。

MBTIについては、開発元も相性を扱ってはいます。ただしその説明は「タイプの組み合わせで関係がうまくいくかを予測できる」というものではなく、違いがどこで摩擦になりやすいかを知るための道具、という位置づけです。相性の良し悪しを測る尺度そのものが十分に検証されていない、とも説明されています。巷で見かける「このタイプとこのタイプは最高の相性」という一覧は、その位置づけの外で作られたものです。

星座や誕生日を聞かない占いのほうが、当たりますか

その場で相手を観察して話を組み立てる技法(コールドリーディング)を使えば、生年月日を聞かなくても当たっているように感じさせることはできます。むしろ、事前に生年月日だけを受け取って書くレポートには、その技法を使う余地がありません。

「当たっている感じ」の作られ方については、占いを信じていなかった頃の話にも書いています。

参考にした調査・研究

  1. Voas, D. (2008). Ten Million Marriages: An Astrological Detective Story. Skeptical Inquirer, 32(2), 52-55.(イングランド&ウェールズ2001年国勢調査。査読誌ではなく懐疑論の専門誌です)
  2. Helgertz, J. & Scott, K. (2020). The validity of astrological predictions on marriage and divorce: a longitudinal analysis of Swedish register data. Genus, 76(1), 34.(査読あり)
  3. Greenberg, S. & Ferretti, A. (2024). Can astrologers use astrological charts to understand people's character and lives? ClearerThinking.org.(占星術師152名。査読誌に掲載された研究ではありません)
  4. Joel, S. et al. (2020). Machine learning uncovers the most robust self-report predictors of relationship quality across 43 longitudinal couples studies. PNAS, 117(32), 19061-19071.(11,196組)
  5. Montoya, R. M., Horton, R. S., & Kirchner, J. (2008). Is actual similarity necessary for attraction? A meta-analysis of actual and perceived similarity. Journal of Social and Personal Relationships, 25(6), 889-922.(313研究・460効果量)
  6. Tidwell, N. D., Eastwick, P. W., & Finkel, E. J. (2013). Perceived, not actual, similarity predicts initial attraction in a live romantic context: Evidence from the speed-dating paradigm. Personal Relationships, 20(2), 199-215.